ギター寅さんの日記 |2009年4月10日 晴 漆の話 4

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2009年4月10日 晴 漆の話 4

さて、この漆仕上げ、従来のものと比べて何がいいのか、また、悪いのか、今日はひとつずつ検証していきましょう。

①極限にまで薄い塗装皮膜
大体、楽器屋さんでよく見かけるエレキギターに採用されているポリエステルで1ミリ、高級品に採用されるラッカーでも約0.2ミリほどの、塗装皮膜が形成されます。もちろん、ギターの音質には塗装以外の要素もあるのですが、薄い塗装はギターの持つ振動特性や伝達率をスポイルすることなく、倍音特性を向上させ、高音から低音域まで、バランスよく腰のある音が出るようになります。ラッカー塗装がよいとされる理由はそこにあります。しかし、ラッカーにしろポリエステルにしろ石油化学系の塗料。いくら薄くしても、材木を完全に密閉してしまうことになり、やはり材質にはよくありません。しかし、漆は材木の細胞レベルにまで浸透し、表面を補強しながら硬化していくため、ラッカーやポリエステルなどよりも、はるかに薄く、かつ強靭なしあがりになります。

Urushitele.jpg

②美しい
分厚い塗装を嫌う人が採用する方法に、オイルフィニッシュというものがあります。もちろん、塗装は薄くできますが、いわば、フローリングオイルのようなもの。長年すめば床が傷だらけになることはよく知られています。しかし、漆には柔軟性があるので、軽くぶつけただけではクラックなどはおきません。また、よく触れるところは少しずつはげては行きますが、オイルフィニッシュのような汚いはげ方ではなく、なかなか味のあるはげ方をしていきます。また、上から漆を拭きなおすこともできます。

Urushitele UP

③環境への低負荷
なによりも漆は自然素材です。ギターのボディはたいてい、木材で作られています。幾重に拭きつけるポリエステルやラッカーに比べて素材への負荷は低く、また廃棄されるときも、ハードウエア類をリサイクルすればボディはそのまま自然に還すことができます。

④堅牢
熱や湿気、酸、アルカリには強く、腐敗しにくい、防虫の効果もあります。なによりも、劣化しにくいというのが挙げられます。また、乾燥時の収縮率がほとんど変わらないので、柔軟性もありつつ、しっかりと木地を保護できる優れものです。

Urushi st smalll2

⑤弱点
まれに、紫外線を受けると劣化することが知られています。また、生の漆が肌につくとかぶれることがあります。これはウルシオールによるアレルギー反応で、まれに漆の木の近くを通過しただけでもかぶれることもあります。かぶれの程度と症状は、人によって実にさまざまです。漆器ではかぶれることは無いですし、もちろん、このギターでかぶれが発生することはありません。しかし、まれに、作られて間もない場合、かぶれる事もあります。これは重合され残ったウルシオールが揮発するためです。しばらくすれば収まります。古来人々は、漆には特別な力があるとされ魔除けとして重宝されてきました。触るとひどくかぶれる漆には、邪悪なものを寄せ付けない力があると考えらたのだと思います。もしも、漆にかぶれた場合は、抗アレルギー剤を使うか、ワラビの根を煎じた汁、煮た沢蟹の汁、硼酸水などを患部に塗る民間療法があります。また、塗師やさん(漆塗り職人)では新米のとき、生の漆を飲ませて、体に抗体をつくるという荒っぽいやり方があったらしいです。

続く


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プロフィール

ギター寅さん

Author:ギター寅さん
※なお、このブログの文章や写真、ファイルなどに付きましては、管理人ギター寅さんこと古谷周治は権利を放棄しておりません。引用・転載ご希望の方は、www.gwnn.infoまでご一報ください。無断引用・転載を発見しました場合は法的措置を取らせていただく可能性がありますので、十分ご注意ください。



1994年 京都精華大学人文学部人文学科卒業 8年間の仏具製作卸売会社勤務の後・・・、

2002年 ESPギタークラフトアカデミー大阪校本科修了、

2003年 アメリカ・アリゾナ州Roberto-Venn School of Luthiery秋クラス修了、

2004年 サンフランシスコでエレキギター工房、CenterLineGuitarsの立ち上げに参加

帰国後は木工職人、楽器店の修理担当をへて、現在に至る。


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