ギター寅さんの日記 |2009年4月9日 晴 漆の話 3

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2009年4月9日 晴 漆の話 3

さて、今日も漆のお話です。ざっとですが、ギターボディに漆をつける工程を説明しましょう。

①木地の磨き
塗装作業に入る前に、だいたい240番から1000番前後までのサンドペーパーを用いて木地を研磨します。また市販品や中古品の場合は、下地まで塗装を剥離し同じく240番から1000番前後のサンドペーパーで木地を研磨すれば同じように施すことができます。ここまでは従来の塗装作業とほぼ共通です。

urushitele pre
ポリエステル塗装の厚みは1ミリ近くあります。
はがすのは結構大変です。

たいていの市販品はポリエステルで塗装されています。塗装というよりかは、溶かしたプラスティックでコーティングしているという感じでしょうか。普通の塗装剥離剤では取れないのでひたすらサンドペーパーでこすっていきます。

②着色を施す際は、木地固めの前工程で顔料、染料を直接しみこませます。このあたりは、PRSのマッカーティーや24にある、木地着塗装(色は付いているがきれいな木目が見えているもの)と同じです。

③木地固め:生漆(きうるし)を素地全体に染み込ませ拭き取ります。通常の塗装におけるウォッシュコート(ポアフィラー、サンディングシーラーといった下地の食い付をよくするために木地に直接軽くラッカーを吹きつけておくこと)に相当します。楽器の美観、音響に影響するため、ムラなくしみこませる。

④軽く全体を空研ぎをおこない、木目の粗い木地の場合サビを入れます。これは、通常の塗装における目止め、すなわち、ポアフィラーに相当します。また、美しい木目を出す意味でも、材質に合わせてサビを入れるますが、基本的に拭き漆の目摺りサビは、木目の美しさを引き出すために、通常よりも柔らかめのものを用いることが多いようです。
※サビ:砥の粉、水、生漆を合わせたパテのようなもの。これをきちんと打っとかないと、木地がどんどん漆を吸い込んでしまい、きれいな塗装皮膜ができなくなる。

⑤生漆を全体に延ばして拭き取り、漆風呂にいれて乾燥させます。通常の塗料とは違い、助剤の乾燥による硬化(平たく言えば、ラッカーを溶かしているシンナーが蒸発することによって硬化すること)ではなく、初回にもお話したとおり、漆は気中の水蒸気がもつ酸素を用い、主成分のウルシオールが生漆に含まれる酵素、ラッカーゼの触媒作用によって常温で重合することで硬化します。よって、適度な温度と湿度をキープした漆風呂に入れる必要があるのです。

漆風呂の温度は大体24度から28度、湿度は70%から80%が理想的といわれています。よって、梅雨時から夏にかけては最も効率よく硬化していきます。

⑥乾燥したらサンドペーパーによる空研ぎ。

⑦必要最低限、木地を保護する塗装皮膜を形成するために、⑤、⑥の工程を10回ほど繰り返す。回数を重ねるごとに徐々にペーパーの番手は細かくしていきます。この工程は、普通のポリエステルやラッカーの場合、着色後のクリア吹きつけと中研ぎに相当します。

⑧さらに、最後の3~4回の生漆拭きは、独特の風合いとつやを出していくために、上摺り漆と言われる上質(だいたいは国産のもの) のものを用います。だいたい、ここまでたどり着くのに①っ花月から2ヶ月かかります。

⑨通常の拭き漆製品は、拭きっぱなしの場合が多いのですが、さらに艶を出すために菜種油と蝋色粉などで磨き上げます。これは、通常塗装のバフィングに相当します。自動車の修理工場なんかで塗装をやり直したときに、最後の仕上げにふかふかの綿のようなものをまわして磨く機械がありますが、やっていることはほぼ同じです。

Urushi tele just uped
組み上げまちの漆ギター

⑩組み上げていきます。さらに、楽器のポテンシャルを高めるため、ピックアップ、ブリッジなどのハードウエアを厳選し、組み上げていきます。

Urushitele PU

リアとフロントでまったく違うPUをつける人が居ますが、あまり意味がありません。全体的なバランスを考えて、漆塗装を施したよさを引き出します。

Urushi st smalll2

こうして完成します。


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プロフィール

ギター寅さん

Author:ギター寅さん
※なお、このブログの文章や写真、ファイルなどに付きましては、管理人ギター寅さんこと古谷周治は権利を放棄しておりません。引用・転載ご希望の方は、www.gwnn.infoまでご一報ください。無断引用・転載を発見しました場合は法的措置を取らせていただく可能性がありますので、十分ご注意ください。



1994年 京都精華大学人文学部人文学科卒業 8年間の仏具製作卸売会社勤務の後・・・、

2002年 ESPギタークラフトアカデミー大阪校本科修了、

2003年 アメリカ・アリゾナ州Roberto-Venn School of Luthiery秋クラス修了、

2004年 サンフランシスコでエレキギター工房、CenterLineGuitarsの立ち上げに参加

帰国後は木工職人、楽器店の修理担当をへて、現在に至る。


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