ギター寅さんの日記 |2009年4月8日 晴 漆の話 2

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2009年4月8日 晴 漆の話 2

さて、昨日からの続きです。

そもそも、漆はどこから来て、どういうふうにして使えるようになるのでしょうか。今日は、漆の採取と精製についてお話します。

3・樹液の採取
ウルシ科のウルシノキ(漆の木)やブラックツリーから採取します。ヤマウルシでもうるし成分は採れるが、量が少なく使われません。対象とする樹の幹の表面にV字型などの切り込みを付け、しみ出す樹液を、缶などを使って貯めます。切り込みはまるで、昔使われていた洗濯板のように見えます。切り込みの溝にも樹液が貯まっているので、これも合わせてかき集めます。この様に集めた樹液を「あらみ」と呼びます。

うるし掻き、すなわち、漆の樹液の採取の方法は2通りあります。一年で樹幹の全体に傷を付け,採りきってしまう「殺掻き(ころしがき)法」と,数年に渡って採り続ける「養生掻き(ようじょうがき) 法」です。現在では「殺掻き法」が主流だそうです。「殺掻き法」は一年でうるし液を採りきり,その後萌芽更新のため木を切り倒してしまいます。

Urushikaki.jpg
漆掻き中の漆の木

殺掻き法は、植付後4~5年ないし6~7年の樹周が20cm内外になるころ、また、樹齢の大きいものでは樹液がさかんに流動する5~6月ころから11月中旬に、採液をおこないます。ちょうど、漆に弱い人ならこの木の下を通ってもかぶれが出ることがあります。

外皮を削りとり、樹幹の地上25cmの箇所から梢方に35cmほどの間隔で樹幹の一側面に長さ2cm余の横溝をつけ(これを検付という)、次に反対面にもまた表面検付間のほぼ中央から検付をほどこし、梢方に向かって表面と同様におこない、螺旋状に傷を付けます。傷の長さは2~3cm、深さは6mm、検付の数は、周囲22~25cmくらいのものでは9~11箇所、検付が終れば溝の上部6~9mmばかりの箇所にさらに横溝を付け、次に材部にまで達する傷を与え、流出する灰白色の乳状の液を漆壺内に採集します。 掻工は、1日に全担当樹の4分の1を採液し、全樹の採液が終ったら元の樹に返り、旧検付の上方6~9mmばかりの箇所に横溝をほどこして採液し、以上の作業を幾回も繰り返していきます。溝の長さは回ごとに長くし、秋の彼岸までに十数回~二十数回の横溝を画して採液します。これを辺掻または本掻といいます。

最下部は、表裏両面ともに検付の上下に横溝をほどこし、すると傷の配列は中央のくびれた鼓状をなすので、鼓掻といい、辺掻と区別されます。辺掻で得た液は採取した時期のよって、下記のように呼び方が変わります。

初漆(6月中旬~7月中旬までに採集したもの)
盛漆(7月中旬~9月中旬までに採集したもの)
末漆(9月初旬~秋彼岸までに採集したもの)

辺付が終ったら、検付の下部および幹の細い部分から採液し(この液は裏あるいは裏漆という)、さらに幹面不傷の部をえらんで採液し(この液を止あるいは留漆という)、また枝を伐採し小刀で傷を付け採液します。幹の方々に傷をつけられ、細かい枝まで手を入れられ、徹底的に採液された漆の木は、痛々しい感じがしますが、最後は樹幹を伐採し根株から発芽させ、新林に備えるのです。

採液の収量は幹の太さや、樹齢、地質、気候、そして職人の漆の掻きかたによって変わりますが、だいたい、下記の採液量が一般的です。

樹幹18cm 約110g、
樹幹21cm 約125g
樹幹24cm 約140g、
樹幹27cm 約190g
樹幹30cm 約245g
樹幹36cm 約375g
樹幹42cm 約490g
樹幹51cm 約750g
樹幹66cm 約1540g

4 漆の精製
採取したての漆には、樹皮やごみなどが混ざっているので、まず少し加熱して流動性を上げてから濾過します。現在は、綿を加えた上で、遠心分離器で分離する方法も使われています。濾過が終わったものは生漆(きうるし)と呼びます。うちが拭き漆ギターで使っている漆はこの状態のものです。また、生漆は、加熱しながらかき混ぜて、水分を蒸発させ、練って滑らかにすることを「なやし」、水分を飛ばして濃度を上げることを「くろめ」ともいいます。

生漆に鉄分を加えると、ウルシオールなどとの化学反応で、黒い色を出す事ができ、黒漆(くろうるし)となりますが、鉄分を加えないと色の薄い透漆(すきうるし)となります。精製が終わった透漆には、必要に応じて朱色(辰砂)などの顔料を加えて色を付けて使用すると、さまざまな色を表現することができます。(当方の拭き漆ギターには、これは用いません。詳しくは次回以降に)

こうして、拭き漆ギターに使われる漆が出来上がります。

Urushi st smalll2

だいたい、ギターボディ一枚にどれぐらいの量を使うかは、ボディ材や色合いによって変わってくるのでなんとも言えませんが、漆の木の育成状況や、精製の手間を考えると、とても貴重な素材を使っているということがお分かりいただけるかと思います。たしかに、生産効率、という面で考えれば、とても石油化学系の塗料にはかないませんが、それらにはないずば抜けた性能を漆は持っています。さて、次回はいよいよ、漆ギターの製作手順についてです。

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プロフィール

ギター寅さん

Author:ギター寅さん
※なお、このブログの文章や写真、ファイルなどに付きましては、管理人ギター寅さんこと古谷周治は権利を放棄しておりません。引用・転載ご希望の方は、www.gwnn.infoまでご一報ください。無断引用・転載を発見しました場合は法的措置を取らせていただく可能性がありますので、十分ご注意ください。



1994年 京都精華大学人文学部人文学科卒業 8年間の仏具製作卸売会社勤務の後・・・、

2002年 ESPギタークラフトアカデミー大阪校本科修了、

2003年 アメリカ・アリゾナ州Roberto-Venn School of Luthiery秋クラス修了、

2004年 サンフランシスコでエレキギター工房、CenterLineGuitarsの立ち上げに参加

帰国後は木工職人、楽器店の修理担当をへて、現在に至る。


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